歯車列の減速比計算が劇的にラクになる方法を本の中で見つけたので、忘れないように記事にしておく。(これを説明するウェブページが見当たらなかったのでGIFアニメも作っておく。)
平歯車を使うと、軸の回転方向を変えたり、回転速度を変えたりすることができる。歯車列のある歯車と、別の歯車が同じ方向に回るか、反対方向に回るか考えるのは簡単だ。ある歯車が回転しているとき、それにかみ合っている歯車は回転方向が反対になる。従って歯車Aにかみ合っている歯車Bは歯車Aと反対方向に、歯車Bにかみ合っている歯車Cは、歯車Aと同じ向きに回る。
しかし、回転速度の比率、減速比を計算するのは面倒だ。(簡単なやり方があるのかもしれないが、知らない。)それを計算するには、歯車列を構成する歯車ひとつひとつの減速比を動力が伝わっていく順番に従って(歯車列を構成する歯車の数-1)回の計算が必要だ。
機械設計という本に、この煩わしい計算をしなくても減速比を知ることができる方法[1]が書いてあった。鉛筆と定規とコンパスがあれば、頭を使うこと無く減速比を計算できる。これを考えた人は賢いなぁ。
まず次の図を見ると分かりやすいと思う。一番左の円から歯車A, B, C, Dのピッチ円とする。歯車B, Cは歯数が異なる歯車が同軸上に固定されている歯車だ。(ミニ四駆世代ならば、青色と黒色の歯車だ。)歯車A, Bのピッチ円の共通接線を適当な長さで引く。図では、下向きになっている。そうしたら歯車Aの中心からその共通接線の端まで線を引く。次に接線の端から歯車Bの中心を通るようにして、歯車B, Cのピッチ円の共通接線と交わるところまで線を引く。これを繰り返す。
この作業が終わったらいよいよ各歯車の回転速度を図にかくステップに移る。
適当な点(図では歯車列の右側に配置した。)をかき、そこから歯車Aの回転速度の長さを持つベクトルnAをかく。そうしたらnAの終点を通り、かつ、歯車A, Bのピッチ円の共通接線の端と歯車Aの中心を結ぶ線と平行な線をnAの法線と交わる点まで引く。今度はその点を通り、かつ、歯車Bの中心を通るさっき引いた線と平衡な線を、nAの始点側を延長した線と交わるところまで線を引く、そして、そこを終点として、nAの始点からベクトルを引き、nBとする。これら2つのベクトルの長さの比が減速比になっているので、歯車列の最後の歯車のベクトルまで作図すれば、歯車列の最初と最後の歯車の減速比が分かる。ベクトルの方向が反対ならば回転方向も反対になっている!
点に名前を付け忘れて図を作ってしまったので、文章で説明するのが難しい。次のGIFアニメを見れば分かると思う。下付き文字が上付き文字になってしまうなぁ…←<sup>を<sub>に変えたら直った!
[1] 機械設計編纂委員会, 機械設計, p.463, 槇書店 , 1961.